「やばい…鍵がない。どこかに落としたかも…」
賃貸に住んでいる方なら、一度はそんなヒヤッとした経験があるのではないでしょうか。
実際、管理会社には毎月のように「鍵をなくした」という連絡が入ります。
その中には、「慌てて間違った対応をしてしまった」という方も少なくありません。
本記事では、不動産管理歴15年の視点から、
鍵を紛失したときに入居者がまずやるべきことと、
やってはいけないNG対応を本音でお伝えします。
Contents
まずは深呼吸。鍵が本当に“ない”のか確認を
鍵を紛失したと思っても、すぐに管理会社へ連絡するのは少し待ってください。
実は「鍵をなくしたと思い込んでいただけ」だったというケースは、管理現場では非常に多いのです。
例えばこんな“よくある事例”があります。
- 飲みに行った居酒屋に置き忘れていた
- 職場のロッカーに入れたままだった
- 共用部のゴミ置き場の扉に挿しっぱなし
- ポストに鍵を入れていたのを忘れていた
- 実家に帰省した際に持ち帰って置いてきてしまった
- 鍵を差したままドアを閉めた → 実はまだ鍵穴にあった
- 鍵をかけずに外出 → 室内にあった
「なくした」と決めつけてしまうと、その時点で鍵交換という高額対応に直結する恐れがあります。
まずは、落ち着いて“ありそうな場所”を洗い出し、本当に紛失なのかを確認するところから始めましょう。
鍵の交換費用は意外と高い?種類ごとの相場と注意点
鍵が見つからなかった場合、基本的には入居者負担で鍵交換を行う必要があります。
このとき、鍵の種類によって費用が大きく変わるため、事前に知っておくことが重要です。
鍵の種類 | 相場の目安 |
ユーナインキー | 約20,000円前後 |
ディンプルキー | 30,000〜40,000円程度 |
オートロックキー | 上記に加えて3,000〜5,000円程度(複製料) |
オートロック付き物件の場合、エントランス用のキー(ICタグやカードキー)も紛失したかどうかで対応が変わります。
このキーは基本的に交換ではなく「複製対応」となることが多く、3,000円〜5,000円程度の費用が発生するケースがあります。
ただし、マンションによっては管理会社が一括管理しておらず、管理組合や建物管理会社へ直接依頼が必要な場合もあります。
そのため、ICキー紛失時は「管理会社にまず確認する」ことが鉄則です。
注意点:管理会社に言う前に“本当にない”かを再確認
鍵交換は、一度連絡すると「じゃあ交換しましょう」という流れになりやすく、費用が発生します。
だからこそ、連絡前に「本当に失くした」と確信を持てるまで探すべきです。
特に、管理会社によっては**「交換前提で対応される」**ことが多いため注意してください。
鍵がどうしても見つからないときは…警察→管理会社の順で連絡を
あらゆる場所を探しても見つからなかった場合は、冷静に「正式な手順」で動くことが大切です。
管理歴15年の現場経験からも、「この順番を守る」ことが後のトラブル防止につながります。
🕵 警察への遺失届を先に出す
- 最寄りの交番や警察署で「鍵をなくした」と伝え、遺失届(いしつとどけ)を提出
- 届出番号を控えておくことで、後で鍵が見つかった際に返還の連絡が来ることもあります
「鍵なんて警察に届ける意味ある?」と思う方もいますが、
実際に財布やスマホと一緒に鍵が交番に届けられるケースもあります。
☎ 管理会社への連絡はその後で
遺失届を出したら、次に管理会社へ電話で連絡を入れましょう。
このとき注意したいのが、夜間・休日でも管理会社の番号にかけること。
多くの管理会社では、営業時間外の番号にかけても**「緊急センター」につながるようになっています。**
これは24時間対応の委託業者で、状況に応じて一次対応や鍵手配の相談ができます。
多くの管理会社では、営業時間外の番号にかけても**「緊急センター」につながるようになっています。**
これは24時間対応の委託業者で、状況に応じて一次対応や鍵手配の相談ができます。
自己判断で鍵業者を呼ばず、必ず管理会社へ先に連絡すること。
管理会社を通さず手配した業者の費用は、負担対象外になる恐れが高いからです。
鍵交換はこう進む!管理会社を通すべき理由と“やってはいけない行動”
鍵が見つからず、管理会社に「紛失」と伝えた場合、基本的に鍵交換の手続きに進むことになります。
このとき、手順を知らずに自己判断で動くと、費用や信頼関係の面で大きなトラブルにつながる可能性があります。
🔁 一般的な鍵交換の流れ(管理会社が対応する場合)
- 管理会社から一時的に保管用のスペアキーを借りる(来社が必要な場合もあり)
- 管理会社が提携している鍵業者から連絡が入り、交換日程を調整
- 入居者立ち合いのもと、業者が訪問して玄関鍵を交換
- 古い鍵を業者に返却、新しい鍵を受け取る
- 後日、管理会社から交換費用の請求書が届く
🚨 NG行動①:自分で勝手に鍵業者を手配する
焦って深夜などに自分で鍵屋を呼ぶ方もいますが、これは基本的にNGです。
管理会社によっては「それは対象外です」「費用の全額は負担できません」と言われることがあります。
💥実際にあったケース:
- 管理会社の鍵屋:ユーナイン交換 約2万円
- 入居者が呼んだ深夜鍵業者:請求10万円
- → 管理会社「適正費用(2万)までしか負担できない」と伝え、8万円自己負担
🚫 NG行動②:鍵交換せずにスペアキーを借り続ける
「保管キーを借りたまま使えばいいか…」と考えるのは、信頼関係を壊す最悪の行動です。
鍵を紛失した以上、防犯上の理由から交換は必須対応。
拒否や無視をすると、原状回復の請求時に「未交換なので鍵交換費用を請求される」といったリスクもあります。
🔸 鍵交換は「費用がかかるから避ける」のではなく、「安全のために必要な処置」です。
正規の流れで手続きをすれば、後のトラブルを防ぐことができます。
火災保険で鍵交換費用は補償される?適用の条件に注意
「鍵をなくしてしまったんですが、火災保険でなんとかならないですか?」
実際に管理会社によくある相談です。
しかし――基本的に「単なる紛失」は補償対象外であることが多いため、注意が必要です。
✅ 補償される可能性があるケース
- 空き巣被害にあい、玄関ドアが破損・鍵が壊された
- 盗難により鍵が持ち去られた(=悪用の可能性があると認められる)
- 第三者による損壊が明らかで、防犯上やむを得ず交換が必要と判断される場合
🔹こうしたケースでは、「盗難」や「不法侵入による損害」として保険会社が対応することがあります。
※保険会社の約款や条件により異なるため、事前確認が必要です。
❌ 補償されないケース(よくある誤解)
- 自分で鍵をなくしただけ(落とした・忘れた・どこにあるかわからない)
- 鍵を紛失したが、侵入被害などが発生していない
- 鍵が見つからないという理由だけで自費交換を希望した場合
🔸これらは、保険上の「事故」や「損害」とはみなされないため、自己負担が原則となります。
だからこそ、火災保険証券の補償内容は入居時に確認しておくことが大切です。
まとめ|鍵をなくしても慌てない。冷静に正しい手順で行動を
鍵をなくしてしまうと、誰でも不安になり、焦ってしまうものです。
ですが、「正しい順番」で対応すれば、大きなトラブルになることはほとんどありません。
- まずは落ち着いて、行動履歴をたどり、全力で探す
- どうしても見つからなければ、警察に遺失届を提出
- 次に、管理会社に連絡(夜間でも“緊急センター”に必ずつながる)
- 鍵交換が必要な場合は、管理会社の指定業者で手配してもらう
- 勝手に鍵業者を呼ばない・鍵交換を後回しにしない
鍵交換費用は原則自己負担になりますが、
「自己判断で動かないこと」が結果的に一番安く・安全に済む対応になります。
そして何より大切なのは、
「鍵をなくさない習慣をつけること」です。
- 外出先では鍵をすぐバッグの決まった場所に戻す
- スマートタグなどを活用する
- 合鍵を信頼できる人や実家に預けておく
トラブルを防ぐ最大の方法は、「日ごろの小さな行動」です。
この記事が、いざというときあなたを助ける道しるべになれば幸いです。