夜、自宅でくつろいでいたら、天井からポタ…ポタ…。
「え、水漏れ?まさか…」
そんな経験、突然やってきます。
賃貸住宅に住んでいると、上階からの漏水トラブルは誰にでも起こり得る問題です。
しかも、タイミングは最悪。夜中、休日、管理会社が不在のとき——。
不安や怒りがこみ上げるのは当然ですが、最も大切なのは“冷静に動くこと”です。
感情的になってしまうと、状況がこじれたり、損をすることにもなりかねません。
この記事では、15年にわたり不動産賃貸管理を行ってきた私が、
「入居者として水漏れに遭遇したときにやるべきこと」を、
現場目線と裏側の事情もふまえて、わかりやすく解説していきます。
- 水漏れの発見
- 自分の部屋の管理会社へ連絡
- 応急処置と現地確認
- 上階や共用部の管理会社へ連絡・調査依頼
- 原因の特定と責任の判断
- 保険の確認と申請手続き
- 復旧工事・家財補償・一時退去(ホテル代など)
Contents
まずは“冷静に”状況を整理して管理会社へ連絡
水漏れに気づいたとき、まずやってしまいがちなのが「パニックになって、思わず感情的な電話をかけてしまう」こと。
でも、水漏れ対応で本当に重要なのは、感情よりも“正確な情報”です。
管理会社に連絡する際には、以下のような情報をできるだけ落ち着いて、わかりやすく伝えることが大切です。
・いつから漏れているか
・どこから水が出ているか
・どのくらいの量が出ているか
・どんな被害が出ているか
・被害物のリスト(できれば写真と購入金額も)
とりあえず連絡しようと慌てると、大事な情報が抜け落ちてしまうことも。
一度、メモアプリや紙に書き出してから電話するのがおすすめです。
被害部屋の管理会社 ≠ 原因の管理会社?管理構造を冷静に把握しよう
一棟タイプのアパートなら、被害部屋も加害部屋も同じ管理会社ということが多いです。
でも、分譲マンションだとそうはいきません。
・自分の賃貸借契約に書かれている管理会社は“被害部屋”のみを管轄
・加害部屋(上階)は別のオーナー、別の管理会社であることが多い
・建物全体の共用部は、また別に管理組合の管理会社がある場合も
上階が原因かもしれないと感じたら、「そちらは別の管理会社の可能性もある」と冷静に把握しましょう。
漏水の原因によって補償範囲も対応スピードも変わる
よくある原因と、誰が責任を負うかを整理します。
・雨漏り・外壁から → 管理組合
・給湯管・給水管・排水管の劣化 → 上階のオーナー
・トイレやキッチンのオーバーフロー → 上階の入居者
・洗濯排水ホース外れ → 上階の入居者
とくに多いのが給湯管の劣化です。
保険に加入していても、管の交換工事は保険対象外。
費用が高額になるため、上階オーナーの動きが遅くなりやすい傾向があります。
保険で補償されるもの・されないものの現実
【補償されることが多いもの】
・室内の原状回復工事
・家具・家電の被害(条件付き。写真+購入金額)
・一時的な宿泊費用(居住不能と認められた場合)
【補償されないもの】
・引っ越し費用、契約金の返金
・証明できない家財(レシート・型番不明など)
・慰謝料、ストレスなどの精神的損害
補償は時価評価が基本です。
たとえば3年前に10万円で買ったテレビも、3万円程度になることがあります。
交渉術と生活再建|泣き寝入りしないために知っておくべきこと
修繕が始まらない、進捗が見えない…。そんなときは:
・こまめに管理会社へ進捗確認
・「賃料減額の相談ができるか」と聞いてみる
民法第611条では「使用収益できない部分の賃料は減額請求できる」と定められています。
また、自分の火災保険を使って補償を受けることも可能です。
保険会社が後で加害者側へ請求する「求償」をしてくれるため、損をすることはありません。
等級制度がないので、翌年の保険料が上がることもありません。
まとめ:焦らず、冷静に。知っていれば必ず対応できる
水漏れは予期せぬトラブルですが、知識と準備があれば、必ず落ち着いて対応できます。
この記事が「知らなかったから損をした」を防ぐきっかけになれば幸いです。